聴きたいものを聴く。1日中,波の音を聴いていたい。1日中,鳥の鳴き声に身を埋めていたい。1日中,雑踏の音と乾いたビートに明日をみていたい。
ミュージックマッチ社は,CD並みの音質のストリーミングラジオ「ラジオMX」のベータサービスを開始した。ラジオMXサービスは,現在約10万曲を対象にして,ユーザーの好みに合わせた曲を選んで流してくれる。今後,米国レコード協会や5大レーベルと交渉して楽曲を増やし,オンデマンドに近いサービスを行う。
マック版やマックOS X版,さらにリナックス版も用意しているところがとてつもなく偉いミュージックマッチだが,RIAAやレコードレーベルとの交渉は一筋縄ではいかないだろう。MP3・コムのときもそうだったし,ナップスターのときも結局はそうだった。彼らは,自分たち以外が音楽で収入を得ることなどとことん許さない。音楽のためでもない,著作権者のためでもない,利益の独占が最優先事項なのだ。だから,ミュージックマッチの行く末も危うい。
個人で有線をひいて音楽を楽しんでいる,という人ならまだしも,フツーの人が果たしてラジオにお金を払うだろうか,と云うのも一瞬不安がよぎるのだが,月600円,1年間6,000円で,24時間365日,自分の望んでいる曲が流れ続ける,というのは幸せな環境だと思う。「デジタル音楽サービスで,世界で初めて成功する」と自信をみせているラジオMX(Impress INTERNET Watchの記事),問題は,これからRIAAやレーベルから受ける妨害だろう。デジタル音楽の混乱は,まだ続く。そして,私たちが聴きたいものを麗しい環境で受け取れる日は,まだ遠い。
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